契約更新が近づいた、運用がうまく回らない、必要な機能が足りない。MAツールの乗り換えを考え始めるきっかけは、さまざまです。ただ、「ツールを替えれば解決する」と決めてしまうと、移行に手間をかけたのに、同じ悩みが残る結果になりがちです。マーケティングアカデミアにも、乗り換えの検討段階でのご相談が数多く寄せられます。
この記事では、MAツールの乗り換えを検討する方に向けて、「そもそも乗り換えるべきか」の判断軸と、移行を安全に進める手順、特に見落としやすい引き継ぎのポイントを整理します。
ツールそのものの選び方は「MAツールの選び方・導入のポイント」、導入を支援してくれる会社の選び方は「MA導入支援会社の選び方 2026完全ガイド」で解説しています。本記事は、すでにMAツールを使っている企業が、乗り換えるかどうかを判断し、移行を進めるための内容です。
多くのツールは年単位の契約です。更新の時期は、費用と成果を見直す自然な機会になります。ただし、更新直前に慌てて決めると、移行の準備期間が足りなくなります。
設定が難しい、担当者が異動した、シナリオが止まったままになっている。こうした状況で、「使いやすい別のツールにしたい」と考えるケースです。
営業のCRM・SFAとの連携、フォームの種類、メールの配信量、レポートの柔軟さなど、事業の変化に対してツールの機能が合わなくなる場合です。
事業の拡大、部署の統合、親会社のツール統一などにより、使うツールを見直す必要が出る場合です。
運用がうまくいかない原因は、ツールではないことが少なくありません。乗り換える前に、次の4点を確認してみてください。
これらが整っていない状態で新しいツールに移ると、移行の手間だけがかかり、同じ状態が再現されます。運用体制の見直しは「MAツール運用で直面する6つの課題とその対策」や「MA運用の内製と外部支援の使い分けガイド 2026」も参考になります。
やりたいことを書き出し、現在のツールで実現できるかを確認します。「できない」のか「設定すればできるが、やり方が分かっていない」のかを区別することが大切です。後者であれば、運用の支援で解決できます。
動いているシナリオ、使われているテンプレート、現場が慣れている画面があるなら、それを手放す負担は大きくなります。定着している部分と、そうでない部分を分けて考えましょう。
データの整理と移行、メールやフォームの作り直し、並行運用、社内の教育など、移行には一定の期間と工数がかかります。その間の施策の停滞も見込んでおく必要があります。
現在のツールに何があるかを、一覧にします。対象は、コンタクトとリスト、プロパティ(項目)、フォーム、メールのテンプレート、シナリオやワークフロー、スコアリングの設定、他システムとの連携、レポートです。
すべてを移す必要はありません。使われていないテンプレートや、動いていないシナリオは、移行の対象から外します。「移す」「作り直す」「捨てる」の3つに仕分けるのが実務的です。
移行の前に、重複の統合、表記ゆれの統一、無効なアドレスの整理を行います。汚れたデータをそのまま移すと、新しいツールでも同じ問題が起こります。
項目の対応表(旧ツールのどの項目を、新ツールのどの項目に入れるか)を作ります。ステータスや分類の値の対応も決めます。配信停止や同意の情報の引き継ぎも、この段階で設計します。
新ツールでフォーム、テンプレート、シナリオを構築し、一定期間、旧ツールと並行して運用します。表示の崩れ、差し込みの誤り、連携の不具合を、少量の配信で確認します。
フォームやトラッキングのコードを差し替え、旧ツールの配信を止めて、新ツールに切り替えます。切り替え後は、リストの件数、配信の到達、フォームの取得が正常かを検証します。
移行で最も影響が大きいのが、配信停止と同意の情報です。ここを取りこぼすと、すでに配信を断った相手にメールを送ってしまい、信頼を損なうだけでなく、法令上の問題にもなりかねません。
ツールによっては、全体の配信停止と、配信の種類ごとの配信停止が別々に管理されています。片方だけを移すと、もう片方が抜け落ちます。旧ツールで、配信停止の情報がどう管理されているかを、最初に確認してください。
エラーで届かなかったアドレスや、無効と判断されたアドレスの情報も、あわせて移します。これを引き継がないと、新ツールで再び送信を試みて、配信の評価を下げる原因になります。
いつ、どの方法で同意を得たかの記録も、可能な限り移します。法令上の扱いについては、専門家にも確認することをおすすめします。
切り替えの時期は、旧ツールの契約更新日から逆算します。更新日の直前に決めると、並行運用の期間が取れません。余裕を持って、数か月前から準備を始めるのが安全です。
新ツールでメールを送るときは、送信元のドメインの認証設定(SPF、DKIMなど)を、新ツールで済ませておく必要があります。また、切り替え直後にすべての相手へ一斉に送ると、配信の評価に影響することがあります。配信量を段階的に増やすのが一般的です。
乗り換えの費用は、新ツールの利用料だけではありません。データの整理と移行の作業、フォームやテンプレートの作り直し、並行運用の期間の二重の契約、社内の教育と習熟の時間も含めて考えます。
金額の大小だけで判断せず、「何が含まれているか」「移行後の運用を誰が担うか」まで確認して比較してください。
回避策は、移行の設計段階で、配信停止の情報がどこにいくつあるかを洗い出し、移行後に件数を突き合わせることです。
回避策は、少量の配信から始め、到達と表示を確認しながら、段階的に増やすことです。
回避策は、移す前に「いまの目的に合っているか」を見直し、必要なものだけを作り直すことです。
ツールが変わると、開封やクリックの数え方が変わり、移行前後の数字を単純に比べられなくなることがあります。回避策は、指標の定義を事前にそろえ、切り替え時点を記録しておくことです。指標の設計は「MAツールで費用対効果を最大化する方法」も参考になります。
移行が終わっても、運用する人がいなければ、同じ状態に戻ります。新ツールを、誰が、どのくらいの時間で運用するのかを、移行の前に決めておきましょう。社内で担う場合も、外部に任せる場合も、「移行したあと」の体制が成否を分けます。外部に任せる場合の選び方は「MA運用外注の選び方 2026完全ガイド」で解説しています。
マーケティングアカデミアは、リードナーチャリング運用を専門に支援しています。HubSpotとZohoの運用代行に対応しており、「乗り換えるべきか」の相談から承ります。
悩みの原因がツールにあるのか、運用や設計にあるのかを、一緒に切り分けます。運用の改善で解決できる場合は、ツールを変えずに支援します。
専任の運用担当者が、リスト整備からメール配信、反応した相手へのフォローまでを一貫して担当します。サービスの詳細は「Kizuna MA」をご覧ください。HubSpotでの運用は「HubSpot運用代行会社の選び方 2026年版」、Zohoでの運用は「Zoho運用代行会社の選び方 2026完全ガイド」も参考になります。
MAツールの乗り換えをご検討の方は、まず現状の課題をお聞かせください。お問い合わせはこちらからご相談いただけます。
MAツールの乗り換えは、ツールを替えること自体が目的ではありません。悩みの原因を切り分け、本当にツールが原因なのかを確認し、乗り換える場合は、配信停止や同意の情報を含めた引き継ぎを丁寧に設計することが、安全な移行につながります。
まずは、現在のツールの悩みを書き出し、それが「ツールの機能」の問題なのか、「運用」の問題なのかを分けるところから始めてみてください。
データの量、移すシナリオの数、連携の有無によって異なります。棚卸しから切り替えまで、数か月を見込むのが一般的です。契約更新日から逆算して、余裕を持って準備を始めてください。
行動の履歴は、新ツールに移せないことが多いです。コンタクトの情報や取引の履歴は移せても、メールの開封やサイト閲覧の記録は、新ツールで新たに蓄積されます。スコアも、設計し直す必要があります。
配信停止と同意の情報の引き継ぎです。全体の配信停止と、配信の種類ごとの配信停止が別々に管理されているツールもあるため、取りこぼしがないよう、移行後に件数を突き合わせて確認してください。
多くの場合、できます。悩みの原因が運用や設計にある場合は、ツールを変えなくても改善できます。マーケティングアカデミアは、HubSpotとZohoの運用代行に対応しており、既存の環境での運用改善も承ります。
可能です。移行の設計の段階から運用の担当者が関わることで、移行後の運用がスムーズになります。まずは、現状の課題をお聞かせください。